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レコーディング機材検証の中で。。。

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2006年 08月 21日

Logic Pro 7 でのミックスダウン

ここ数年のコンピューターの大幅なクロックアップにより、フル・ネイティブ環境での楽曲制作/ミックスダウンが十分に可能な時代を迎えていることは確かだと思いますが、ソフトウェアの違いにより、その「音質」が変わってくることがしばしば話題にのぼります。
ことLogicの音質について、ネット上などでも議論されているところをたびたび目にいたしますが、今回は、私自身もメインアプリに使用することが多いLogic Pro 7でのミックスダウンについて、音の奥行き感や広がりが大幅に改善される技のご紹介です。

Logicでミックスダウンをする場合、「音が団子になりがち」という性質は、私も以前から感じておりました。
Logic Pro 6 以前は「Pan Law」の調整が出来ず、センターに定位させた音が大きく聞こえてしまうことが、その大きな要因だったように思います。
Logic Pro 7 以降は、メニューの「ファイル>ソング設定>オーディオ」の項で、「Pan Law」の設定ができるようになり、この問題が解決したようにも見えました。
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Logic Pro 7 になり、早速私は「Pan Law -3db」という一般的な設定で制作を開始してみたところ、大きな問題にぶつかってしまいました。
複数のドラム・トラックで1つのグループを組むためにBusトラックへ送ったところ、Busに送ったトラックのレベルが、直接アウトプットに送っていた時よりも下がってしまったのです。
こんな仕様では、せっかく付いた「Pan Law」も使い物にならないと思っていたところ、この状態を回避する設定を発見いたしました。
この発見が、音の奥行き感や広がりが改善されることに繋がっていきます。

Logic Pro 7のオーディオドライバの設定画面に、「ユニバーサルトラックモード」というチェック項目があります。
デフォルトではこれにチェックが入った状態です。
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この「ユニバーサルトラックモード」にチェックが入っているのといないのとでは、ステレオのトラックの扱い方が違ってまいります。
このチェック項目自体は、確かLogic 3.6ぐらいで登場したものだと記憶しておりますので、古くからLogicを使用している方は、ご存知のチェックボックスかと思います。

「ユニバーサルトラックモード」がオンとは、以下のような状態です。
(トラックミキサーではなく、オーディオのエンバイロメント画面でご確認ください。)
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これが「ユニバーサルトラックモード」がオフだと、以下のようなエンバイロメントになります。
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つまり「ユニバーサルトラック」をオフにすると、オーディオトラックやBusトラックをステレオで扱う場合、2つのフェーダーを使用することになるのです。
(インストトラックはその性質上、「ユニバーサルトラック」オン/オフの影響は受けません。)
「ユニバーサルトラックモード」については、「Logic Pro 7 リファレンス・マニュアル」の314ページにも記載されているので、そちらもご参照ください。

この「ユニバーサルトラックモード」がオフの状態だと、「Pan Law -3db」の状態で複数のトラックをBusに送っても、前記のようにレベルが下がることはありませんでした。
私はぜひとも「Pan Law -3db」の状態で制作をしたかったので、必然的に「ユニバーサルトラックモード」をオフにする必要が出てきました。

そして、この「ユニバーサルトラックモード」のオンとオフで、ミックダウンの結果が大きく変わることが分かったのです!

私は、「ユニバーサルトラックモード」をオンの状態で制作した楽曲を、「ユニバーサルトラックモード」オフの状態へ変換をしていったのですが、これが一筋縄ではいかない作業でした。
何しろ1フェーダーで扱っていたステレオトラックに、2フェーダーをあてがう必要が出てくるのです。

例えば、「ユニバーサルトラックモード」がオンの状態で4つのステレオファイルを扱っている以下のようなソングがあるとします。
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「ユニバーサルトラックモード」をオフにするには、アレンジウィンドウ上で以下のように動かさなければいけないのです。
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これにエフェクトが掛かっていたら、さらに複雑になってまいります。

この変換作業にはいろいろな方法があるとは思いますが、まず「ユニバーサルトラックモード」をオンの状態で各エフェクトの設定をそれぞれ別名で保存してしまい、どのトラックに何のエフェクトが挟まっていたかとそのフェーダー値を全部メモした上で、エフェクトを全て外します。
そして上記のように、アレンジウィンドウ上でオーディオトラックをずらしてあげた後、「ユニバーサルトラックモード」のチェックを外します。
そしてエフェクトとフェーダー値を元のように再構築していってください。

「ユニバーサルトラックモード」はBusトラックやAuxトラックにも影響しているので、BusやAuxをステレオで扱っていたら、そこも変更が必要です。
ステレオの「Bus 1」へセンドしていたトラックは、「Bus1-2」へセンドするように変更する必要があります。
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そしていくつかのソングを「ユニバーサルトラックモード」オフの状態へ変換してみると、全く同じエフェクト、全く同じフェーダー値なのに、楽曲の「鳴り」が一変いたしました。
一枚ベールが削いだようなと言いましょうか、音の奥行き感と広がりが非常に良くなり、Logicにありがちな「音が団子になる」状態が大幅に改善されたのです。
特にリバーブやディレイを多用している楽曲においては、その変わり方が顕著です。

これはもう試していただくしかありません。
「ユニバーサルトラックモード」のオンとオフでは何が違うのか、よくご理解いただければ、変換が面倒なことは確かですが、確実にその違いを感じていただけると思います。

私が思うに、「ユニバーサルトラックモード」がオフの状態が、Logic本来の実力を発揮しているような気がします。
Logic Pro 7でミックスダウンまで行う際には、「ユニバーサルトラックモード」がオフで、「Pan Law」が「-3db」という設定がお薦めです。
ぜひお試しください。

追記:
「ユニバーサルトラックモード」がオフでもインターリーブ・ステレオファイルを扱えますが、メニューの「Logic Pro>環境設定>オーディオ」の項の、「インターリーブ形式で録音されたファイルをスプリットステレオファイルに変換」にチェックを入れておくと、ステレオファイルは全てスプリットで扱われることになり、Pro Toolsのオーディオファイルの扱い方と互換が取れることになります。
Pro Toolsへの取り込みが必要な方は、このチェックを入れておくことをお薦めいたします。

# by music_drec | 2006-08-21 03:14 | ソフトウェア検証
2006年 07月 27日

Apogee Ensemble 試聴レポート

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Apogee Ensembleが発売される前に最も多かったお問い合わせは、ずばり、「他のインターフェースと比べて出音はどうか?」というものでした。
もちろん私自身も、まずはその点が気になります。

今日、やっと、じっくりと比較をする時間が取れました。
比較したのは上にもリストアップした通り、Digi002Rack、Ensemble、Traveler、FireFace800の4機種です。
ネイティブ環境を構築するインターフェースの中でも、ハイエンドのインターフェースとして、今最も認知度の高い4製品と言えると思います。

まず最初にお伝えしたいのは、この4機種はどれも素晴らしい出音だということです。
価格的にはApogeeのEnsembleが最も高価ではありますが、それぞれの出音の違いは、お客様の好みによっては、「Ensemble以外のインターフェースの方が好き」という印象を持たれることも十分にありえる違いだと思います。
あくまで私の主観としてその印象を書いてみたいと思いますが、この点ををご理解いただいた上でお読みいただければと思います。


Apogee Ensembleの出音を聞いてまず気付くのは、そのレンジの広さです。
バスドラの「ドスッ」という低音、ハイハットの「チッチッ」というビート感、「ガシャーン」と鳴らしたシンバルの余韻など、どれもしっかりと表現しきってくれます。
この点に関しては、多少の傾向の違いはあれど、FireFace800も素晴らしいと思いました。

私が、Ensembleが他のインターフェースと一線を画すと思ったのは、中域の鳴りです。
ボーカルやギターなどの「艶」と「張り」が大変に気持ち良く、それらをEQでいじった際やリバーブへのセンド量を調整した際など、その変化が手に取るように分かります。
Apogeeの伝統的な音は、Ensembleでも継承されているように思いました。

ただ音源によっては、このEnsembleの出音の「張り」が、逆に暑苦しいという場合もあるかもしれません。
レンジの広さでは負けていないFireFace800とEnsembleの違いは、中域の表現の仕方だと思うのですが、聞く方の好みによっては、FireFace800の方がスッキリしていて好きという場合もあるかと思います。

Digi002RackやTravelerは、非常に扱い易い、大変うまくまとめられた出音という印象です。
そのまとまり具合はとても音楽的で、十分に納得のできる出音だと思います。
レンジの広さではEnsembleやFireFace800に一歩譲ったとしても、自宅でのミックスの際などは、Digi002RackやTravelerの出音の方がまとめ易い場合もあるのではないかと思いました。

最後にもう少し加えておくと、今回比較した4機種の価格は、Traveler(¥138,000)からEnsemble(¥265,000)までの開きがあるわけですが、4機種を順番に比べていくと、その価格差なりの出音の違いに、私は十分「納得」できました。
Apogee Ensembleのコストパフォーマンスが高いのは確かだと思います。
私がインターフェースを購入する際に、もしも予算が許すなら、きっと Ensembleを選ぶと思います。
(私がLogicをメインにしているということもありますが。)

繰り返しになりますが、あくまで私の主観的な見解です。
私の稚拙な文章よりも、ご自身の耳でご確認いただくのが一番です。

それでは、また。

# by music_drec | 2006-07-27 04:28 | 周辺機器
2006年 07月 24日

SSL Duende 発売!

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レコーディングスタジオの業務用コンソールとして、歓呼たる地位と厚い信頼を得ている「Solid Stete Logic(以下、SSL」社から、同社純正のDAW用のプラグインが発売されるというニュースには、私も大変驚きました。

数ヶ月前から「SSL」のWEBサイトで、LMC-1というフリーウェアのコンプレッサー・プラグインが配布されておりますが、今回発売された「Duende(デュエンデ)」という製品は、FireWire接続、1UラックマウントのDSPプラットフォームと、そのDSP上で動作するプラグインで構成されています。
TC ElectronicのPowerCore FireWireなどと同じ発想の製品と言っていいでしょう。

現状ではMac OS X 10.4.4以上(Power Macのみ、Intel Macには近日対応)、Audio UnitsとVSTフォーマットに対応、付属するVST-RTAS Adapterを使用することで、RTASでの使用も可能になります。
(Windowsへの対応は、2006年後半を予定。)

付属するプラグインは、「Channel Strip(EQ&Dynamics)」と「Bus Compressor」の2種類のみです。
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同種の製品であるPowerCoreやUAD-1と比べると、バリーエーションという点では見劣りするようにも思えますが、この2種のプラグインは、「SSL」社の最高峰コンソールである「XL9000K」のサウンドをシミュレートした最新デジタルコンソール、「C200」のチャンネル・ストリップのアルゴリズムをそのままプラグイン化したものなのです。
つまり「SSL」の最高峰コンソールのチャンネル・ストリップを、ご自宅のDAW上で使用できるというわけです。

私自身は、「SSL」のコンソールを使ったミックスはもちろん経験したことがありませんが、「悪かろうはずがない」ことは容易に想像できます。
「プロサウンド」誌の8月号において「SSL」の本社スタッフであるジェームス・モトリー氏は、「Duendeのサウンドはイミューレーションではなく”本物”である」と明言しております。
そのサウンドは如何なるものなのか、早速検証してみました。


付属するインストーラーからインストールを行い、「Duende」をFireWire接続し、「Duende」の電源をオン、これだけで使用可能になります。
FireWire接続はBusパワーでも大丈夫です。
4ピンでのFireWire接続も考慮し、電源アダプターも付属はしておりますが、Busパワーでも問題なく使用できるとのことです。

Logic上でそのチャンネル・ストリップを立ち上げてみると、ダイナミクスのカーブやEQのカーブをグラフィカルに表示してくれる今時のプラグインとは違い、基本つまみのみのシンプルなプラグインであることが分かります。
プリセットも付属しておりませんので、コンプやEQの操作にある程度慣れている方でないと、最初は取っ付きにくいかもしれません。
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しかしいざそのつまみを動かしてみると、「Duende」が「SSL」純正のプロダクトであることを思い知らされます。
私自身は「SSL」のコンソールを操作したことがないことは先に述べましたが、本物との比較論といった次元でなくても、このプラグインがいかに素晴らしい仕上がりであるか、すぐにわかりました。

DAW上でEQを掛けるとき、高域を上げるのを躊躇することはありませんか?
あるトラックの音の抜けをもう少し良くしたいといった時、思わずEQで高域を上げてしまいますが、音の抜けが良くなるというより、どうもギラギラした音になってしまい、思った効果にならない時があります。
もちろん私のテクニックの未熟さ故ではあるのですが、その昔、アナログコンソールのEQで高域を上げていた頃の感覚とは、微妙に違う時があるのです。

「Duende」のプラグインでは、この微妙な感覚のずれは全くありませんでした。
EQを使った時に、この帯域を、これくらいのQで、何db上げるといった操作で出てくる音は、何の違和感もなくその効果が反映された音になっています。
つまみを極端な値に設定したとしても、その効果がきちんと反映されるだけで、妙にギラギラしたり、変に音痩せしたりすることはありません。

これはダイナミクス部も同様で、変に音が潰れて引っ込んでしまったり、余計に音圧が上がってバランスが崩れたりするのではなく、スレッショルドがこの値で、レシオがこれぐらいなら、これぐらい潰れるという感覚が、原音のニュアンスを損なわずにきちんと再現されます。
「SSL」のコンソールを未経験の私でも、「Duende」のプラグインは「本物のSSL」というのが、非常に納得できる効果です。

文章だけで書いていると何だか当たり前のようにも聞こえますが、飛び道具的な効果のプラグインも多い中、ハイクオリティなアナログコンソールと同様の効果のチャンネル・ストリップが、こんなにも重宝するとは思いませんでした。
今まで、ドラム系音源にはこのコンプ、ピアノ音源にはこのEQといった具合に、プラグインの特性とキャラクターの違いで、数種のプラグインを何となく使い分けていたのです。
「Duende」には、基本的なEQとコンプは、DSPの許す限り「Duende」の物を使いたいと思わせるものがあります。


ちなみに「Duende」1台で、44.1kHz/48kHz時にはモノラル32ch分(ステレオ16ch分)のチャンネル・ストリップの使用が可能です。
88.2kHz/96kHz時には、その半分になります。
DSPプラグイン使用時のCPU負荷も非常に低く、ノートでの使用も十分可能でしょう。

PowerCoreやUAD-1との併用も試してみました。
それぞれのDSPを全て使い切るという極端な検証は行いませんでしたが、特に問題はなさそうです。
ただし、DuendeにオーディオインターフェースをFireWire、 おまけにPowerCoreもFireWireで接続となると、信号のやり取りがFireWireの帯域としてかなりつらそうです。
オーディオインターフェースかPowerCoreはPCI接続にした方がいいと思います。


前述した通り、VST-RTAS Adapterを使ってRTAS化することで、Pro Tools上で使用することも可能です。
「Duende」の性格上、TDM環境で使用したいという方も多いと思いますが、「Duende」はFireWire接続ですので、PCIスロットが埋まっている方や、拡張シャーシをお使いの方でもアドオンすることが可能なのです。
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TDM環境においては、遅延補正エンジンをオンにすることで、DSPプラグインにつきもののレイテンシーを気にせず使用することができます。
Pro Tools LEの場合は、「Time Adjuster」プラグインを使った手動での補正が必要ですが、「Duende」の取説にはその補正の仕方が詳しく書かれています。


正直、同種の製品と比較すると決してお手頃な価格ではありませんが、「Duende」を導入することで、数千万円の最高峰アナログコンソールのチャンネル・ストリップを、プラグインとして使用することが可能になるのです。
この手のうたい文句と製品のクオリティが一致しない物も多数存在するように思いますが、そこはさすがに「SSL」、期待を裏切らない素晴らしい製品です。
(私も欲しい!!)

# by music_drec | 2006-07-24 03:41 | ソフトウェア検証
2006年 07月 08日

KONTAK 2で3rdパーティー製NIエンジン・サンプラーのライブラリーを使う

本当に久しぶりの更新です(すいません)。b0075089_0144532.jpg

今回取り上げるのは、Native Instruments社の10周年記念として特別バンドル版で登場いたしました、「KONATKT 2 クロスグレード・バンドル」です。

現在、NIのKOMPAKTエンジンやINTAKTエンジンを積んだ、3rdパーティー製のソフトウェア・インストゥルメンツが数多く発売されております。
発売しているのは、Art Vista、Best Service、Big Fish、East West、Garritan、Zero-Gといったメーカーです。
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これらのメーカーは、いわゆるサンプリングCDメーカーとしての歴史をもつメーカーで、これまでにAKAIやEMUなどのハードウェア・サンプラー用のライブラリーを数多く発売してきました。
これらサンプリングCDメーカーのライブラリーとNI製のサンプラー・エンジンを結合させることで、ハードウェア・サンプラーでは考えられなかった、数(十)GBもの大容量ライブラリーを有するプレイバック・ソフトサンプラーが、今では主流になっています。


今回ご紹介する「KONTAK 2 クロスグレード版」は、これらNIのサンプラー・エンジンを積んだ3rdパーティー製ソフトウェアをお持ちの方のみ使用できる、特別パッケージの「KONATK 2」です。
(3rdパーティー・ソフトウェアと同じユーザーアカウントでないとオーサライズができません。)
一見単なる優待販売にも見えますが、3rdパーティー製NIエンジンのソフトを複数お持ちの方には、大変意義のあるクロスグレードになります。

NIのサンプラー・エンジンを積んだ3rdパーティー製ソフトウェアに含まれるライブラリーは、もちろんNIのKONTAKT/INTAKTフォーマットで収録されています。
これらNIエンジンの3rdパーティー製ソフトウェアがオーサライズされているマシンにKONTAKT 2をインストールすると、KONTAKT 2で、3rdパーティー製のライブラリーも自由に読み込むことが可能になるのです。
NIから発売されている「Akoustik Piano」「Elektrik Piano」「Bandstand」も実はKONTAKTフォーマットを使っており、KONTAKT 2での読み込みが可能です。
(Akoustik Piano、Bandstandの読み込みには、Kontakt 2.1以上が必要です。)

KONATK 2に積まれているデータベース・エンジンを活用すると、以下のようにKONTAKT 2のクイック・ロードに、3rdパーティーのライブラリーを表示させることも可能です。
(ただ、以下の状態ほど多くのライブラリーを登録すると、リストの表示が極端に遅くなりますので、全てを登録するのはお薦めいたしません。)
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3rdパーティー製プラグインに含まれるKOMPAKTは、プラグイン1個につき最大で8パートまでのマルチティンバー、INTAKTは1個につき1パートまでになってしまいますが、KONTAKT 2でしたら、プラグイン1個で16パートまで使用可能になります。

例えば1つの「KONTAKT 2」の中で、Best Service「Artist Complete」収録の単発ドラムやドラムループで基本のドラムパターンを作り、East West「Hardcore Bass XP」にベースを担当させ、上モノのパーカッション・ループをはZero-G「Sounds of 70s」で、バッキングのピアノとエレピはArt Vista「Virtual Grand Piano」とNI「Elektrik Piano」で、ストリングスはEast West「QLSO Gold Edition」で、ブラスはBest Service「Chris Hein Horns」で、さらにEast West「Colossus」で上モノを装飾、とどめのヘビーギターはBig Fish「Raising Guitars」で、なんてことが可能なのです。
(正直、あまりあり得ない組み合わせかもしれませんが、あくまで例ですので。)
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KONTAKT 2へ読み込むことで、スクリプトを含む高度なエフェクト処理による音作りはもちろんのこと、サンプルのマッピングの組み替えも可能になりますので、KONTAKT 2を導入することの恩恵は非常に大きいと言えると思います。


それではパフォーマンス面での恩恵はどうなのでしょう?
KONTAKT 2は、先日バージョン2.1のダウンロードが開始され(現在はバージョン2.1.1)、ハードディスク・ストリーミングのCPU負荷を含む、全体のパフォーマンスが大幅に改善されました。
デュアルCPUへの最適化も強化されています。

そこでEast West QLSO Silver Editionを使った実験を行ってみました。

EWQLSO Silverのライブラリーを合計28パート使ったフルオーケストラのソングデータをLogic Pro 7.2上で走らせ、EWQLSO Silverのプラグイン(バージョン1.0.8)を4つ使って再生した場合と、Kontakt 2(バージョン2.1.1)を2つ使って再生した場合の、CPU負荷がピークの時のパフォーマンス・メーターを比較してみました。
再生に使ったマシンは、Power Mac G5 2.5GHz Dual(3GB RAM)です。

EWQLSO Silver Edition(バージョン1.0.8) 4つの場合
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Kontakt 2(バージョン2.1.1) 2つの場合
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実はこのCPUメーターの差だけではお伝えできない違いとして、ハードディスク・ストリーミングのパフォーマンスがあります。
3rdパーティー製ソフトウェア付属のKOMPAKTを使った際に、CPU負荷的には問題なくても、ストリーミングの能力が追いつかず、「プチッ」とノイズがのってしまった経験をお持ちではないでしょうか。

KONTAKT 2.1はこのストリーミングのパフォーマンスが著しく改善されました。
KONTAKT 2.0では全く再生できなかった、EWQLSO Full Edition 28パート使用の激重のデモソングが、KONTAKT 2.1にアップしたところ、ほとんど再生できるほどにまでなりました。
EWQLSOなどのオーケストラ系KOMPAKTプラグインをお使いの方は、KONTAKT 2の導入の恩恵は非常に大きいです。


今回ご紹介したかった「KONATKT 2 クロスグレード・バンドル」は、3rdパーティー製のKOMPAKT/INTAKTエンジン・ソフトをお持ちの方には、本当にお薦めの商品です。
NI10周年記念のキャンペーン期間中(2006年9月10日まで)は、NIの「Akoustik Piano」「Elektrik Piano」「Bandstand」からのクロスグレードも可能です。
おまけに「KONTAKT EXPERIENCE」「KONTAKT 2 TUTORIAL DVD」もバンドルされています。
(「TUTORIAL DVD」は、英語/フランス語/ドイツ語版になります。)

NIエンジンのソフトを全くお持ちでない方には、この機会に、廉価なKOMPAKTエンジンのソフトウェア(例えばArt Vista「Virtual Grand Piano」)と、「KONATKT 2 クロスグレード・バンドル」を購入するなんて方法も考えられます。

# by music_drec | 2006-07-08 03:19 | ソフトウェア検証
2006年 06月 14日

Apogee Ensemble、Symphony 発表会レポート

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Apogeeの期待の新製品、EnsembleとSymphonyの発表会に行ってまいりました。
昨日このブログでも急遽告知させていただきましたが、お時間が合わなかった方もいらっしゃると思いますので、ここで簡単なレポートをさせていただきます。

EnsembleはFireWire接続のオーディオインターフェース、SymphonyはPCI ExpressカードもしくはPCI-Xカードと、Apogee製のAD/DAコンバーターを組み合わせるシステムになります。
http://www.electori.co.jp/apogeepro/Ensemble.htm
http://www.electori.co.jp/apogeepro/Symphony.htm

まず大前提として、この2製品は完全にOS X用に開発されており、Mac用のドライバのみ供給されるそうです(ドライバのインストールの必要はないようです)。
Intel Macにも既に対応済みです。


Symphonyカードを使ってのシステム構築は、Pro Tools TDMシステムのそれとほぼ同様の考え方で、AD/DAコンバーターを数珠つなぎをしていくことで、カード1枚につき最大で32ch分の入出力を可能にしています。
G5で使う場合、合計3枚のカードを挿すことで、最大で96ch分もの入出力が可能になります。
デジタル入出力を装備したオーディオインターフェース(RMEやLynxなど)とApogeeのResetta800などを組み合わせて、よりハイエンドなシステム構築を考えている方には、ベストマッチな選択になることは間違いないでしょう。


EnsembleとSymphony共通で提供されるmaestroというコントロールソフトウェアは、ダイレクトモニター用のミキサーはもちろん、かなり詳細なパッチングも可能にしていますので、非常に柔軟性に富んだシステム構築ができそうです。
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そしてFireWire接続のEnsembleについてです。

入出力には、8イン(4ch分はマイクプリ搭載)/8アウトのアナログ端子、コアキシャル端子、S/MUX ADATも可能なオプティカル端子を装備しています。
マイクプリと2系統出力が可能なヘッドホン端子は、全てデジタル制御のボリュームが搭載されているらしく、非常に洗練されたデザインのフロントパネルからの制御はもちろんのこと、マイクプリのゲインをmaestroソフトウェアからコントロールすることも可能になっています。

そして皆さん最も気になっていることは、EnsembleとLogic Pro 7.2を組み合わせたときの動作だと思うのですが、この点も確認することができました。

現状でLogic Pro 7.2を立ち上げると、オーディオメニューの一番下のところが、「Apogee コントロールパネル」という名前でグレーアウトしているのをご確認いただけるはずです。
Ensembleが接続されていると、このメニューが選択可能になるのです。
そしてこの「Apogee コントロールパネル」の項で登場するのは、以下の3つのタグの画面です。
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こうして見ますと、あたかもLogic Pro 用のインターフェースとも受け取られそうですが、Logic Pro 7.2でコントロールできることは全てmaestroソフトウェアでも制御できますので、maestroソフトウェアを併用することで、Final CutやDPなどCore Audio対応の全てのアプリケーションでも同等のことができます。
しかしLogic Pro 7.2でEnsembleを使用する場合、これらの設定がソングの一部として保存できることになりそうですので、何かと重宝しそうです。

それでは、また。

# by music_drec | 2006-06-14 02:27 | イベントの告知、レポート
2006年 06月 01日

速報! Intel Macに対応したPro Tools LE 7.1.1のパフォーマンスチェック!!

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5月31日、かねてからのデジデザインの公約通り、Intel Macに対応したPro Tools LE 7.1.1、Pro Tools M-Powered 7.1.1のダウンロードが開始されました。
http://www.digidesign.com/download/711/

既にIntel Macに対応しているLogicでのパフォーマンスを見る限りでは、ことIntel Core Duoを積んだIntel Mac機のパワーは、Power Mac G5 Dualに迫るパフォーマンスを見せています。
Pro Tools LEではどうなのでしょう?
これは確かめないわけにはまいりません。

3rdパーティー製のプラグイン・インストは、そのほとんどがまだIntel Macに対応していないため、今回はオーディオのみのセッションで、ミックスダウン時の負荷を比べてみました。
Music Production ToolkitのIntel Mac対応版も同時にリリースされましたので、使用ボイスが32ボイスを超えるPro Toolsセッションを作り、5通りの環境でのパフォーマンス・チェックを行っております。

チェックに使用したセッションの内容は以下の通りです。

オーディオ(24bit 44.1kHz Wav、全て頭からベタの状態)
モノトラック:17トラック
スプリット・ステレオトラック:10トラック
(合計37ボイス使用)

トラック・インサート・エフェクト
7-Band EQ III(Mono):15個
4-Band EQ II(Stereo):7個
Comp/Limiter Dyn 3(Mono):5個
De-Esser Dyn 3(Mono):2個
BF76(Mono):2個
Smack! LE(Mono):1個

Auxセンドリターン・エフェクト
TL Space Native(Stereo):2個
Long Delay II(Stereo):1個

マスター・インサート・エフェクト
Maxim(Stereo):1個

プレイバックエンジンのH/W バッファサイズは全て256サンプルに設定して、以下の5つのマシンでチェックをしてみました。
せっかくのチェックなので、Peintium D(Dual Core)のWindows機と、Pro Tools HD環境でのチェックも行っております。

Power Mac G5 2.5GHz Dual
(Digi002Rack & Pro Tools LE 7.1cs7)
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iMac 17inch 1.83GHz Intel Core Duo
(M-Audio Ozonic & Pro Tools M-Powered 7.1.1)
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MacBook Pro 15inch 2.16GHz Intel Core Duo(内蔵HDは7200回転にカスタマイズ)
(Mbox 2 & Pro Tools LE 7.1.1)
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カスタマイズWindows機 Pentium D 840 (3.2GHzx2 Dual Core)
(Digi002Rack & Pro Tools LE 7.1cs7)
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Pro Tools TDM環境 (Power Mac G5 2GHz Dualを使用)
(Pro Tools HD 2 Accel (PCI-X) & Pro Tools HD 7.1cs7)
(ボイス数:96ボイス(2DSP)、遅延補正エンジン:ショートに設定、エフェクトは全てTDM版を使用)
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いかかでしょう?
今までのIntel Macのパフォーマンス・チェックの結果から見て、予想の範疇ではございますが、驚愕の結果であることは確かだと思います。
MacBook ProでG5並みのパフォーマンスが出るとなると、システム構築の仕方がかなり変わってくるのではないでしょうか。

Power Mac G5に変わるIntel Mac機がまだ発表されていないため、TDM環境の移行はしばらくお預けの状態ですが、持ち運びなどに使うサブシステムは、もうノートでも十分ということにもなりそうです。
これからシステムを構築するという方は、拡張性に不満がなければ、iMacでも本当に十分と言えそうです。

# by music_drec | 2006-06-01 03:32 | ソフトウェア検証
2006年 05月 25日

Logic Pro 7.2.1でSerato"Pitch 'n Time LE"、iZotope"Radius for Logic"を使う

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曲の制作途中で、オーディオ素材のピッチシフトやタイムストレッチを行う必要に迫られたことはございませんでしょうか?
コンピューター処理能力の大幅な向上により、以前では考えられなかったような精度でのピッチ修正、素材の伸縮が可能になっていることは、皆さんご存知のことと思います。

AntaresのAuto-Tuneの登場によって一気に普及したピッチ修正ツールは、CelemonyのMelodyneやWavesのTuneなどがこれに追従し、今では録音された素材の旋律を変更することすら可能になっています。
また一方では、SONY ACID、ableton Live、Apple GarageBandなど、スライス情報を含んだオーディオ素材を利用することにより、いとも簡単にオーディオの伸縮を可能にしているソフトも多く存在しています。
つい数年前では全く考えられなかったほどの進歩です。

でももし、生録音を中心とするマルチトラック・セッションで、既に録音が進んでいる状況の中、曲の調を半音上げてみたくなったら、もしくはテンポを1つ落としてみたくなったら、できるだけ精度の高いピッチシフトやタイムストレッチができなければ、一から作り直しになってしまいます。

現在普及しているDAWはそれぞれに、こうした要望に応える独自のアルゴリズムを備えています。
中でも業務用DAWのスタンダードとして君臨するPro Toolsは、デフォルトで使用可能なDigidesign純正のアルゴリズムの他にも、SoundToysのSPEEDやWavesのSoundShifterを追加することで、3rdパーティー製のアルゴリズムを使用してのピッチシフト/タイムストレッチを可能にしています。
もともとピッチシフト/タイムストレッチは、音質変化がどうしても避けられない作業だけに、素材に合わせてそのアルゴリズムを変更できることは、大変有効な機能と言えるでしょう。

そして今回ご紹介するのは、Apple Logic Pro 7.2.xでの使用が可能な、3rdパーティー製のピッチシフト/タイムストレッチ・プラグインです。

・Serato "Pitch 'n Time LE"
(Logic Pro 7.2.0以上、Mac OS X 10.3.9以上に対応)
http://www.brainmusic.com/products/serato/main/pitch'ntimeLE/pitch'ntime_le.html

・iZotope "Radius for Logic" (国内発売未定)
(Logic Pro 7.2.1以上、Mac OS X 10.4.6以上、Intel Macにも対応)
http://www.izotope.com/products/audio/radius/

Logic Proには、「タイム&ピッチマシン」という、独自のピッチシフト/タイムストレッチ・アルゴリズムが備えられています。
その昔、Logic Platinumに初めてこの機能が搭載された時は大変話題となり、この機能が目的でLogicを選択する人も登場するほどでした。

その後、Logicのバージョンアップと共にその精度の改善も行われましたが、現在では、他社専用ソフトの精度に比べると、どうしても「粗い」と言わざるをえません。
しかし上記の3rdパーティー製のプラグインを追加ことで、その精度は大幅に改善されます。
特に "Pitch 'n Time" は、既にPro Tools用としても大変評価されているソフトだけに、大いに期待できそうです。

Logic Pro 7.2.1がインストールされたマシンに "Pitch 'n Time LE" "Radius for Logic"をインストールすると、プラグインのComponentsフォルダにはインストールされるものの、Logic上でのAudio Unitesプラグインとしては見えてきません。
「サンプルエディタ」で「タイム&ピッチマシン」を使用するときに、アルゴリズムの選択の中に登場いたします。
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何しろ実際に一度試してみないとなかなか購入に踏み切れないソフトであるだけに、"Pitch 'n Time LE"では30日間、"Radius for Logic"では10日間、制限なしのデモ使用が可能になっています。
("Pitch 'n Time LE"のデモ使用には、iLok Keyへデモ・アカウントのデポジットが必須になっております。)

私も早速試してみました。
以下の作業を、「タイム&ピッチマシン」の "Version 5" アルゴリズム(Logic Pro 標準搭載)、"Pitch 'n Time LE" アルゴリズム、"Radius Mix" アルゴリズムを使用して行い、その結果を比較してみました。
素材には、4分15秒の私が聞き慣れたCDソース(アップテンポの16ビートの曲です)を、16bitステレオの状態でリッピングして使用しました。
参考までに、それぞれの作業にかかった所要時間も記載しておきます。


○曲の全体をオリジナルから200セント(半音2つ)アップした結果を比較

●"Version 5" アルゴリズム(所要時間6分10秒)
ギターのカッティングや16ビート刻みのハイハットの切れ際が、まるでダブリングを起こしたように聞こえます。如何にもピッチシフトをしたというザラついた音になってしまいます。

●"Pitch 'n Time LE" アルゴリズム(所要時間2分30秒)
16ビートの元気の良い曲調が全く失われず、素材を本当にそのまま200セントアップしたという感じで、オリジナルのニュアンスを忠実に残しています。

●"Radius Mix" アルゴリズム (所要時間7分48秒)
全体的に少しおとなしめのサウンドに変わりますが、ザラついたサウンドになりがちな部分がうまく抑えられ、オリジナルのニュアンスを失っておりません。


○曲の全体をオリジナルから110%タイムエクスパンドした結果を比較

●"Version 5" アルゴリズム(所要時間5分58秒)
ピッチシフトの結果と同様、ビートの切れ際が非常に粗く、高域のザラつきが目立ちます。

●"Pitch 'n Time LE" アルゴリズム(所要時間2分32秒)
大変優秀な結果です。オリジナルのニュアンスがほとんど失われておりません。この曲はもともとこのテンポだと聞き違うほどです。

●"Radius Mix" アルゴリズム(所要時間7分38秒)
ピッチシフトの結果と同様、少しおとなしめのサウンドに変化いたしますが、ビートの切れ際も非常にスムーズで、うまくオリジナルのニュアンスを残しています。


こうした検証は言葉ではなかなか伝わりません。
(私のボキャブラリー不足ですが。)
ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度デモ版を利用して、聞き慣れた素材で試してみてください。

しかし "Pitch 'n Time LE" の精度の良さ、そして所要時間の短さには本当に驚かされました。
Logic Pro上で「タイム&ピッチマシン」を多用される方には、必須のアイテムと言って過言ではないかもしれません。

iZotopeの "Radius for Logic" に関しましては、検証で使用した "Radius Mix" アルゴリズムの他に、"Radius Solo" というアルゴリズムもインストールされます。
アプリケーションフォルダには、アルゴリズムの微調整を行うアプリケーションもインストールされ、"Transient Sensitivity" などの微調整が可能です。
今回の検証はデフォルトの状態で行いましたが、この微調整により、結果をさらに追い込めそうです。
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今はまだ国内での取り扱いが未定の状態ですが(本国サイトからのダウンロード購入が可能)、ぜひ発売して欲しいところです。

# by music_drec | 2006-05-25 03:28 | ソフトウェア検証
2006年 05月 17日

Pro Tools 7 で VST to RTAS Adapter 2 を使う。

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Pro Tools 7 Softwareは、RTASプラグインのパフォーマンスが大幅に改善され、デュアルCPUへの最適化も行われました。
さらにPro Tools LEでも48トラックの使用を可能にするMusic Production Tool Kitの発売により、自宅での作業はLEでという方が今後はさらに増えていくでしょう。

Pro Tools用の追加プラグインは、基本TDM版がメインになっているため、何かと値段が高めの物が多かったのですが、Wavesを初め、SONY OxfordやMcDSP、SoundToysなどは、LEユーザーのためのネイティブ版パッケージを続々と発売しております。

これに対してLogicやCubase、DPなどを併用されている方は、追加エフェクトとしてTC PowerCoreやUAD-1をお持ちの方も多いことでしょう。
これらのDSPカード物は、VSTかAUにしか対応しておらず、ミックスダウンはPro Toolsでと思っても、残念ながらそのままでは使用出来ません。

これを解決してくれるのが、FxpansionのVST to RTAS Adapterです。
その名の通り、VSTプラグインをRTASプラグインに変換してくれるソフトです。
先日、Pro Tools 7に最適化されたVST to RTAS Adapter v2.0が発売されました。

UAD-1などは、以前よりVST-RTASの使用を推奨し、本国登録ユーザーにはUAD専用の特別版を配布しておりました。
PowerCoreも確かバージョン1.95あたりから推奨が出たはずです。
今回はUAD-1とPowerCoreの両方がセットアップされているマシンで、このVST-RTAS 2を使ってみるという試みにチャレンジいたしました。

Pro Tools Software 7.1とPowerCore、UAD-1共に最新版のドライバで試したのですが、みごとに両方同時に使えました。
ただPro Tools LEで使用する場合、レイテンシーの問題が起こってまいります。

もともとDSPカード物は、使用するごとに一定のレイテンシーが起こるのは避けられないのですが、Logic、Cubase、DPなどは、このレイテンシーを自動補正する機能が付いております。
Pro Tools LEはこの補正機能を積んでいないため、例えばPowerCoreの24/7Cを挿したトラックが、他のトラックよりも1024サンプル遅れてしまうのです。

ただVST-RTAS Adapter 2は、何サンプル遅れるかの情報も含めて変換してくれているようで、各フェーダーの下の数字をコマンド+クリック(Winの場合コントロール+クリック)することで、何サンプル遅れているかを確認できます。
PowerCoreは基本1024サンプル、UAD-1は2048サンプル遅れます。
いくつかのコンプや解析系のプラグインはさらに遅れ、例えばPowerCoreのMD3だと1472サンプル、UAD-1のPrecision Limiterだと2112サンプル遅れるようです。

Pro Tools LE 7にはTimeAdjusterプラグインが標準で付属するようになったので、一番遅れているトラックに合わせてその他のトラックも遅らせることで、全体の帳尻を合わせられるようになりました。


では自動補正機能を積んでいるPro Tools HD 7ではどうなのでしょう?
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せっかくの検証なので、Pro Tools HD 2 Accel(PCI-X版)がセットアップされたG5 2.7GHz Dualの余ったPCIスロットに、32bit PCI 7スロット拡張シャーシを付け、そこにPowerCore Mk2×1、PowerCore Unplugged×1、UAD-1×2を増設するという無茶な環境を作ってみました。
前述の通り、UAD-1は基本2048サンプル遅れるので、遅延補正エンジンはロング(4095サンプルまで補正)にセットいたしました。

この環境でも、みごと使えました。
レイテンシーの補正も効いているようです。
さすがにDSPカード4枚のパワーを使い切ろうとすると、CPUメーターが少々暴れてしまいましたが、これだけのDSPエフェクトを使うと、その他のアプリケーションでもそれなりのCPU負荷になりますので、VST-RTAS自体のCPU負荷はほとんどないというのは間違いないようです。
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PowerCoreのAssimilatorは9216サンプル、UADのPrecision Multibandは17408サンプルと、補正の範囲外まで遅れてしまいますが、これはこれらのプラグインの性質上いたしかたないでしょう。
また1つのプラグインのレイテインシーが大きいため、いくつも重ねて使うとすぐに補正の範囲をオーバーしてしまいますが、Pro Tools Software 7は、RTASプラグインを挿す場所の制限がなくなったので、なかなかに面白い使い方が出来そうです。
PowerCore版のOxfordとTDM版のOxfordとでは若干効きが違ったりして、なかなかに興味深い検証でした。

PCIe版のPowerCoreとUAD-1が出てくれば、Pro Tools HD 1 PCIeとの3枚挿しなんてセットもありかもしれません。
(スタジオとの互換性は全く取れませんが。)
Pro Tools LEは禁断の48トラック・オプションを出してしまったのですから、この際レイテンシー補正機能も搭載させて欲しいものです。

# by music_drec | 2006-05-17 03:59 | ソフトウェア検証
2006年 05月 10日

VIENNA INSTRUMENTS

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VIENNA INSTRUMENTSとは、史上最大にして完璧なるオーケストラライブラリ、VIENNA SYMPHONIC LIBRARY(以下VSLと表記します)がソフトウェア音源化されたものです。


数年前にGIGA STUDIO用のライブラリーとしてVSLが登場した時は、大きな話題となりました。
総容量で255GB、オーケストラ楽器のあらゆる奏法が収録され、MIDIによるオーケストラ・シミュレーションの1つのスタンダード音源となった感があります。
VSLの登場が、GIGA STUDIOの普及に大きく貢献したといっても全く過言ではないでしょう。

しかしその後、その昔AKAI、ROLAND、EMUなどが熾烈なフォーマット戦争を繰り広げていたのと同様のことが、ソフト・サンプラーの分野でも起こり始めました。

GIGA STUDIO(GIGA SAMPLER)が世で初めて搭載したハードディスク・ストリーミング機能は、他社のソフト・サンプラーでも同様のことができるようになり、大容量ライブラリー=GIGAという図式は崩れてまいりました。
それまでGIGAライブラリーを開発していた多くのサンプリングCDメーカーは、あまりGIGAライブラリーを発売しなくなり、今ではライブラリー込みのプラグイン形式での発売が一般的になっております。

確かにGIGAライブラリーですと、基本的にはGIGA STUDIOを持っている方しか使えないわけですから、より多くの方にご利用いただくためには懸命な選択だったと思います。
しかし、GIGA STUDIOのハードディスク・ストリーミングのパフォーマンスの良さは、今でも群を抜いており、VSLの存在も相まって、オーケストラと言えばGIGA STUDIOという歓呼たる地位を維持していたように思います。

そんな状況の中、数ヶ月前にVIENNA INSTRUMENTSの発売が発表されました。
私は「VIENNAよ、お前もか」と思ったぐらいです。
それも、EAST WESTやBEST SERVICE、BIG FISHなどがKOMPAKTエンジンを採用し、SCARBEEやPROJECT SAMがHALIONエンジンを採用したのに対して、VIENNAはオリジナルのソフトウェアを開発するというのです。


そして今日、VIENNA INSTRUMENTSを触ってみて、オリジナルのソフトウェアを開発した理由が分かりました。
このソフトは、VSLを縦横無尽にコントロールし、オーケストラ楽器のあらゆる表現方法を完全再現するために開発された、唯一無二のソフトウェアだと言えそうです。
触っていて思わず「スッゲー!」と声を挙げてしまったほど素晴らしい仕上がりです。

VSLには、オーケストラ楽器の様々な演奏法が収録されておりますが、プログラムの切り替えにキースイッチを多用しております。
それまでのサンプラーでは、例えばヴァイオリンのサスティンとスタッカートの音色を別々に読み、MIDIチャンネルを変えるなどして打ち込まなければいけなかったのが、1つの音色でまかなえるように工夫されているのです。
しかし、キースイッチによって切り替えられる音色の配置はあらかじめ決められており、必要な音色だけでキースイッチを組むのは大変困難でした。

またVSLの大変魅力ある機能の一つに、Performance Toolを使ったレガート演奏がありますが、GIGA STUDIOとは別にPerformance Toolを立ち上げなくてはならず、またその仕組み上、音色のベロシティ・スイッチが効かないため、フォルテとピアノのレガートを別々に用意しなければならなかったりして、正直あまり使い易い機能とは言えなかったように思います。

VIENNA INSTRUMENTSでは、これらの問題が一挙に解決いたします。

MIDIを使った様々なコントロール機能が用意されており、キースイッチやモジュレーション・ホイールなどで、音色を縦横無尽に切り替えることが可能です。
そしてその切り替える音色は、全て自分で自由にカスタマイズしていくことができるのです。

レガート奏法に関しましても、音色を読み込むだけでOK、ベロシティ・スイッチによる強弱もつけられます。
VIENNA INSTRUMENTSをうまく使いこなせば、情感のこもったソロ・バイオリンのような、MIDIでは再現が非常に難しい演奏も、生演奏と聞き違うほどの仕上がりにできそうです。

文章ではとてもお伝えできないこれらの機能は、以下のサイトでデモムービーをご覧いただけますので、ぜひ一度ご覧になってください。
http://www.vsl.co.at/en-us/211/344/237.vsl
スピーチが英語なので分かりづらいかもしれませんが、これらのデモムービーで行われているコントロールが、本当にいとも簡単に行えるのです。

そして何よりも一番驚いたのは、その出音です。
音の存在感、そして音圧が全く違います。

GIGAやEXSで鳴らすVSLの出音も素晴らしかったとは思いますが、VIENNA INSTRUMENTSの出音は、とても同じサンプルから出ているとは思えないほどの音色です。
ソフトウェアが違うだけでこんなにも変わるのかと、本当に驚かされました。
レコーディングされた音をそのまま目の前で聞いているような、とまで言ったら言い過ぎでしょうか。
この出音を聞いて、わざわざオリジナルのソフトウェアを開発したことに心から納得いたしました。
本当に素晴らしいの一言です。


VSLは私が個人的にも力を注いできた商品だっただけに、VIENNA INSTRUMENTSの素晴らしさに感動した興奮から、すごい長文になってしまいました。
このソフト、ハッキリ言って私もとっても欲しいです!(お金があったらですが)

それでは、また。

# by music_drec | 2006-05-10 03:16 | ソフトウェア検証